メールセキュリティ製品の選び方|選定時の比較ポイントと注意点を解説
メールは、企業を狙ったサイバー攻撃の入口として利用されやすい経路の一つです。
フィッシングメールや不審な添付ファイル、悪意のあるURLなどをきっかけに、認証情報の窃取やマルウェア感染、ランサムウェア被害へつながる可能性があります。
こうしたリスクへの対策としてメールセキュリティ製品がありますが、製品によって対応できる脅威や機能、運用方法は異なります。
そのため、「価格が安い」「機能が多い」といった点だけではなく、自社がどのようなメール攻撃に備えたいのかを整理したうえで比較することが重要です。
本記事では、法人がメールセキュリティ製品を選定するときに確認したい比較ポイントと、導入時の注意点を解説します。
メールセキュリティ製品とは
メールセキュリティ製品は、メールを経由したサイバー攻撃から企業を守るための製品・サービスです。
代表的な対策としては、
- 迷惑メールの検知
- フィッシングメールの検知
- 悪意のあるURLの検知
- 不正な添付ファイルの検知
- マルウェアの検知
- なりすましメールへの対策
- メール本文や添付ファイルの分析
などがあります。
製品によって得意な領域が異なるため、まずは自社で利用しているメール環境と、対策したい脅威を整理する必要があります。
比較ポイント1:どのようなメール攻撃に対応できるか
最初に確認したいのが、製品が対応している脅威です。
メールを利用した攻撃にはさまざまな種類があります。
たとえば、
- フィッシング
- 標的型攻撃メール
- マルウェアを含む添付ファイル
- 悪意のあるURL
- なりすまし
- ビジネスメール詐欺(BEC)
- ランサムウェアにつながるメール攻撃
などです。
単純な迷惑メール対策だけでは、巧妙なフィッシングメールや未知のマルウェアなどに十分対応できない場合があります。
製品を比較するときは、「何を検知できるのか」だけでなく、「何を防ぎたいのか」から考えることが重要です。
比較ポイント2:添付ファイルやURLをどのように検査するか
メール攻撃では、添付ファイルや本文中のURLが利用されることがあります。
そのため、
- 添付ファイルを検査できるか
- 圧縮ファイルなどにも対応しているか
- URLの安全性を確認できるか
- メール受信後にURLが悪意あるものへ変更された場合にも対応できるか
- 不審なファイルを隔離できるか
などを確認しましょう。
製品によっては、不審なファイルを隔離された環境で実行して挙動を確認する「サンドボックス」機能を備えているものもあります。
自社で扱うファイル形式やメールの利用状況に合わせて比較することが重要です。
比較ポイント3:フィッシング・なりすまし対策
メールセキュリティでは、マルウェアだけでなくフィッシングやなりすましへの対策も重要です。
最近の攻撃では、実在する企業や取引先、経営者などを装い、ユーザーにURLをクリックさせたり、送金や情報提供を求めたりする手口もあります。
比較するときは、
- 送信元情報を分析できるか
- なりすましを検知できるか
- 不審なURLを判定できるか
- メール本文の特徴を分析できるか
- SPF・DKIM・DMARCなどを活用できるか
といった点を確認するとよいでしょう。
比較ポイント4:検知後にどこまで対応できるか
脅威を検知できても、その後の対応に時間がかかると被害が広がる可能性があります。
そのため、検知後の対応方法も比較ポイントです。
たとえば、
- 不審なメールを自動で隔離できるか
- 管理者へ通知できるか
- 配信済みメールを削除できるか
- 同じメールを受信したユーザーを確認できるか
- インシデント調査に必要な情報を確認できるか
などがあります。
特に法人では、**「検知する機能」だけではなく、「検知した後の対応をどこまで効率化できるか」**も確認しておきたいポイントです。
比較ポイント5:Microsoft 365やGoogle Workspaceなどに対応しているか
自社のメール環境に対応しているかも重要です。
たとえば、
- Microsoft 365
- Google Workspace
- オンプレミスのメールサーバー
- その他クラウドメールサービス
など、企業によって利用環境は異なります。
導入前には、
- 現在のメールシステムに導入できるか
- メール配送経路の変更が必要か
- API連携に対応しているか
- 導入時にメールが停止する可能性はないか
などを確認しましょう。
機能が優れていても、自社環境への導入や運用が複雑では負担が大きくなります。
比較ポイント6:誤検知と見逃しのバランス
メールセキュリティ製品では、検知性能だけでなく誤検知にも注意する必要があります。
セキュリティを厳しく設定しすぎると、正常な取引先からのメールまで隔離される可能性があります。
反対に、検知基準が緩すぎると危険なメールを見逃す可能性があります。
そのため、
- 隔離されたメールを簡単に確認できるか
- 管理者やユーザーが解除できるか
- ホワイトリストなどを設定できるか
- 検知ルールを調整できるか
なども確認しておきましょう。
比較ポイント7:管理・運用しやすいか
高性能なメールセキュリティ製品でも、日々の運用が複雑では十分に活用できません。
特に確認したいのは、
- 管理画面がわかりやすいか
- アラートをまとめて確認できるか
- 誰がどのようなメールを受信したか確認できるか
- レポートを作成できるか
- 複数ユーザーを一元管理できるか
といった点です。
専任のセキュリティ担当者がいない企業では、運用に必要な専門知識や作業量も製品選定の重要な判断材料になります。
比較ポイント8:他のセキュリティ製品と連携できるか
メールセキュリティだけで、すべての攻撃を防げるわけではありません。
メールを突破された場合に備えて、
- EDR
- ウイルス対策ソフト
- SIEM
- ID・認証管理
- バックアップ
- ランサムウェア対策製品
などと組み合わせて対策することも重要です。
すでにセキュリティ製品を利用している場合は、ログやアラートを連携できるかも確認するとよいでしょう。
比較ポイント9:導入・運用コスト
製品を比較するときは、ライセンス料金だけで判断しないことも大切です。
確認したいコストには、
- 初期導入費
- ユーザー単位のライセンス費
- 月額・年額費用
- 導入設定に必要な費用
- 運用担当者の作業時間
- サポート費用
などがあります。
価格が安い製品でも、設定やアラート対応に多くの工数が必要になる場合があります。
そのため、導入後の運用まで含めた総コストで比較しましょう。
導入時の注意点1:メールセキュリティだけに頼らない
メールセキュリティ製品を導入しても、すべての悪意あるメールを完全に防げるとは限りません。
攻撃者は検知を回避するために、さまざまな手法を利用します。
そのため、
メールセキュリティ → 不審メールを防ぐ
EDRなど → 端末上で発生した不審な挙動を検知する
バックアップ → 被害が発生した場合の復旧に備える
といったように、複数の対策を組み合わせることが重要です。
導入時の注意点2:既存機能との重複を確認する
Microsoft 365やGoogle Workspaceなどでは、契約プランによって一定のセキュリティ機能を利用できる場合があります。
新しいメールセキュリティ製品を導入する前に、
- 現在どのような機能を利用しているか
- 不足している対策は何か
- 新製品と既存機能が重複していないか
を確認しておきましょう。
「高機能だから追加する」のではなく、現在の環境で足りない部分を補えるかという視点が重要です。
導入時の注意点3:従業員への教育も必要
技術的な対策を導入しても、フィッシングメールなどを完全に排除することは難しい場合があります。
そのため、
- 不審なURLを安易にクリックしない
- 添付ファイルを不用意に開かない
- パスワードを入力する前にURLを確認する
- 不審なメールを報告する
など、従業員へのセキュリティ教育も重要です。
ツールと人的対策を組み合わせることで、メールを起点とした攻撃への備えを強化できます。
メールセキュリティ製品選定時のチェックポイント
メールセキュリティ製品を比較するときは、次の項目を確認しておきましょう。
- 自社が想定するメール攻撃に対応しているか
- 添付ファイルやURLを検査できるか
- フィッシング・なりすまし対策があるか
- 検知後の隔離・削除まで対応できるか
- 自社のメール環境に対応しているか
- 誤検知時の対応が簡単か
- 管理画面や運用方法がわかりやすいか
- 既存のセキュリティ製品と連携できるか
- 自社の人員で運用できるか
- 導入・運用を含めたコストが適切か
- サポート体制が整っているか
- トライアルやPoCで事前確認できるか
まとめ
メールセキュリティ製品を選ぶ際は、機能数や価格だけで比較するのではなく、自社がどのようなメール攻撃を防ぎたいのかを整理することが重要です。
特に、
「何を検知できるか」
「検知後にどこまで対応できるか」
「自社で無理なく運用できるか」
という3つの視点で比較すると、製品を絞り込みやすくなります。
また、メールセキュリティだけですべてのサイバー攻撃を防ぐことはできません。
ランサムウェア対策まで考える場合は、メールセキュリティによる入口対策に加えて、EDRなどによる端末対策や、バックアップによる復旧対策を組み合わせることが大切です。
