法人でも無料でできるバックアップ方法5選|有料バックアップとの違いも解説
法人でも、専用の有料バックアップサービスを導入せずにバックアップを始めることはできます。
一方で、無料の方法では、バックアップ作業が手動になったり、管理や復元に手間がかかったりする場合があります。特にランサムウェア対策まで考える場合は、「バックアップがある」だけでは十分とはいえません。
ここでは、法人でも無料でできる具体的なバックアップ方法と、有料バックアップとの違いを紹介します。
1. 外付けHDDやUSBメモリへコピーする
すでに外付けHDDやUSBメモリを持っている場合は、追加費用をかけずにバックアップできます。
方法
- 外付けHDDやUSBメモリをPCへ接続する
- 契約書や顧客データなど、重要なフォルダをコピーする
- コピーが終わったらPCから取り外す
- 週1回など、決めたタイミングで繰り返す
ランサムウェア対策を考える場合は、バックアップ後に取り外しておくことがポイントです。
常時接続したままにすると、PCがランサムウェアに感染した際、バックアップデータまで暗号化される可能性があります。
有料バックアップとの違い
無料で行う場合は、接続・コピー・取り外しなどを担当者が行う必要があります。
有料のバックアップサービスでは、スケジュールを設定して自動的にバックアップできるものが多く、担当者の作業負担やバックアップ忘れを減らしやすくなります。
2. 無料のクラウドストレージを利用する
無料枠のあるクラウドストレージへ重要なファイルを保存する方法です。
PCが故障した場合でも、クラウド上にデータが残っていれば、別の端末から利用できる可能性があります。
注意したい「同期」と「バックアップ」の違い
クラウドストレージを利用していても、それが自動的にバックアップになるとは限りません。
PC上のファイルがランサムウェアによって暗号化され、その変更内容がクラウドにも同期されると、クラウド側のファイルまで利用できなくなる場合があります。
そのため、
- 過去のファイルへ戻せるか
- 削除したファイルを復元できるか
- 複数世代を保存できるか
などを確認することが重要です。
有料バックアップとの違い
無料プランでは保存容量や保存期間などに制限が設けられている場合があります。
法人向けの有料サービスでは、より大きな容量を利用できるほか、世代管理や復元、管理者向け機能などが充実している場合があります。
3. PCに標準搭載されているバックアップ機能を使う
WindowsやmacOSなどに搭載されているバックアップ機能を利用する方法もあります。
外付けストレージなどを用意すれば、追加のバックアップソフトを購入しなくても利用できます。
手作業で毎回ファイルをコピーするよりも、一定の自動化ができることがメリットです。
ただし、保存先を常時PCへ接続している場合は、ランサムウェアの影響を受ける可能性があります。
有料バックアップとの違い
OS標準の機能は、基本的にPCごとの設定や管理になります。
一方、法人向け有料サービスでは、複数のPCを管理画面からまとめて確認できるものがあります。
PCの台数が増えるほど、**「バックアップできているかを確認する作業」**まで含めて考える必要があります。
4. 社内の別PCやNASへ保存する
すでに社内にNASやファイルサーバーがある場合は、重要な業務データをそこへコピーする方法もあります。
たとえば、
社員PC → 社内NAS
という形でデータを集約します。
既存の設備を利用できれば、新たなサービス費用をかけずにバックアップできます。
ただし、PCとNASが同じネットワークにつながっている場合、ランサムウェアによって両方が被害を受ける可能性があります。
そのため、NASだけを唯一のバックアップ先にするのではなく、別の保存先も用意することが重要です。
有料バックアップとの違い
有料のクラウドバックアップなどを組み合わせれば、社内とは別の環境にもデータを保存できます。
社内ネットワーク全体が被害を受けた場合でも、別環境にバックアップが残る可能性を高められます。
5. 重要なデータだけ二重・三重に保存する
すべてのデータをバックアップするのが難しい場合は、重要なものから優先して保存する方法もあります。
たとえば、
- 顧客情報
- 契約書
- 見積書・請求書
- 売上データ
- 設計データ
- 業務再開に必要な資料
などです。
たとえば、
業務PC + 社内NAS + 取り外した外付けHDD
のように複数の保存先を用意します。
「3-2-1ルール」を意識する
ランサムウェア対策も考えるなら、「3-2-1ルール」と呼ばれるバックアップの考え方が参考になります。
- データを3つ持つ
- 2種類の異なる媒体へ保存する
- 1つは別の場所や切り離した環境へ保存する
たとえば、
① 業務PC
② 社内NAS
③ ネットワークから切り離した外付けHDD
という形です。
手持ちの機器を活用すれば、費用を抑えながら対策することもできます。
無料バックアップと有料バックアップの違い
大きな違いは、単純な保存容量だけではありません。
| 項目 | 無料で行うバックアップ | 法人向け有料バックアップ |
| 費用 | 抑えられる | 月額・年額などの費用が必要 |
| バックアップ作業 | 手動になりやすい | 自動化しやすい |
| 保存容量 | 限られやすい | 大容量に対応しやすい |
| 複数PCの管理 | 個別に確認することが多い | 一元管理しやすい |
| 世代管理 | 限定的な場合がある | 複数世代を保持しやすい |
| バックアップ状況の確認 | 担当者が確認 | 管理画面などで確認しやすい |
| ランサムウェア対策 | 運用で工夫が必要 | 保護機能を備える製品もある |
| 復元 | 手作業になりやすい | 復元を効率化しやすい |
| サポート | 基本的に自社対応 | 法人向けサポートを利用できる場合がある |
無料バックアップは、費用を抑えられる代わりに人の運用に頼りやすいという特徴があります。
有料バックアップは費用がかかりますが、バックアップの自動化や管理、復元を仕組み化しやすくなります。
無料バックアップでも対応しやすい企業
次のようなケースでは、無料の方法から始めることも可能です。
- PCの台数が少ない
- バックアップするデータが少ない
- 担当者が定期的に確認できる
- 外付けHDDなどを適切に保管できる
- 重要データを限定してバックアップする
ただし、担当者が休んだだけでバックアップが止まるような運用には注意が必要です。
有料バックアップを検討したい企業
一方で、次のような企業では有料バックアップを検討するメリットがあります。
- PCやサーバーの台数が多い
- バックアップ忘れを防ぎたい
- ランサムウェア被害を想定している
- 複数世代のデータを残したい
- バックアップ状況を一元管理したい
- データが消えると業務が停止する
- 復旧に時間をかけられない
特に法人では、「無料でバックアップできるか」よりも、「トラブルが発生したときに業務を復旧できるか」が重要です。
まとめ
法人でも、外付けHDDやOS標準機能、無料クラウドなどを利用すれば、費用を抑えてバックアップを始めることができます。
ただし、無料の方法では、
- バックアップ忘れ
- 保存先までランサムウェアの被害を受ける
- 最新データしか残っていない
- 担当者しかバックアップ状況を把握していない
といった問題が起こる可能性があります。
小規模な環境であれば無料バックアップでも対応できますが、重要な業務データを扱う場合は、自動化・世代管理・一元管理・復元のしやすさまで含めて有料サービスと比較することが大切です。
バックアップは「取っているか」ではなく、ランサムウェアなどの被害を受けたあとに、本当に復元できるかという視点で選びましょう。
